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中学生の頃、妹は二重人格だった [中2]







中学生の頃、妹は二重人格だった。

なんでも、火を見ると「影羅(エイラ)」

という魔族の人格が現れるそうで、

真っ暗な部屋の中で唐突にマッチを擦っては、

「……ヘヘ、久しぶりに外に出られた。この小娘は意思が強すぎて困るぜ(笑」

などと乱暴な口調で叫んだりしていた。

ある日、夕食の時に「影羅」が出たことがある。

突然おかずの春巻きを

手掴みでムシャムシャと食べ始めて、

「久々の飯だぜ(笑」と言った。

食べ物関係のジョークを

一切許さない母が、

影羅の頭にゲンコツ振り落とすと

影羅は涙目になっておとなしくなった。

それ以来、食事時に影羅が出たことは無い。

そして別人格とやらは、

妹が高校に入った辺りでパタリと出なくなった。

最近になって、大学生になった妹に

その頃のことを尋ねたら、

クッションに顔を埋めて、

手足をバタバタさせてのた打ち回っていた。






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