中学生の頃、妹は二重人格だった [中2]
中学生の頃、妹は二重人格だった。
なんでも、火を見ると「影羅(エイラ)」
という魔族の人格が現れるそうで、
真っ暗な部屋の中で唐突にマッチを擦っては、
「……ヘヘ、久しぶりに外に出られた。この小娘は意思が強すぎて困るぜ(笑」
などと乱暴な口調で叫んだりしていた。
ある日、夕食の時に「影羅」が出たことがある。
突然おかずの春巻きを
手掴みでムシャムシャと食べ始めて、
「久々の飯だぜ(笑」と言った。
食べ物関係のジョークを
一切許さない母が、
影羅の頭にゲンコツ振り落とすと
影羅は涙目になっておとなしくなった。
それ以来、食事時に影羅が出たことは無い。
そして別人格とやらは、
妹が高校に入った辺りでパタリと出なくなった。
最近になって、大学生になった妹に
その頃のことを尋ねたら、
クッションに顔を埋めて、
手足をバタバタさせてのた打ち回っていた。
2015-06-02 16:32
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